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相続税の申告と相続時精算課税選択適用の有無

(Jimmyblog-No.0133) 相続時精算課税とは 一定の年齢要件を満たす親から子・孫などへの贈与については、将来相続が起こった時の精算(相続税を支払うなど)を前提として、累計2,500万円までの贈与なら贈与税ゼロ、超えても超過分にだけ一率20%の贈与税でOKとするのが「相続時精算課税」制度 で、選択届出書等を提出することで適用できます。 資金力のある親世代から、今まさに資金を必要としている子・孫世代への預貯金等の生前贈与を促すのに役立つとされています。 もらう側は、通常の贈与ならば相続税よりはるかに高い贈与税を支払わなければならないが、この制度を利用すれば贈与された時点ではゼロor少なめの贈与税負担で、まとまった額の財産を相続を待たずにもらうことができます。 ただし 非課税や免 税ではなく、相続が発生したら、この制度を使って贈与を受けた財産は相続財産へ加算して相続税額を計算 しなければなりません。 また、その贈与財産の相続時の評価額(加算する金額)は贈与時の価額となるなど、選択するにあたっては注意点もいくつかあります。 令和6年度改正 いったん 相続時精算課税制度を選択すると、その後は取りやめはできず 、少額の贈与であっても申告&管理が必要とされていました。 けれども令和6年度税制改正(大綱)で、令和6年1月1日以降の贈与については、年110万円までの少額贈与であれば申告不要かつ相続時の加算も不要となりました。 改正により、この制度を選択した人の手間が省ける、と言われていますが、 選択後は相続発生までの長期間にわたるであろう管理が必要になることは今までどおり です。 相続発生時には昔すぎて忘れている・・ 改正は改正として・・・ 相続発生時に、そもそもこの「相続時精算課税を選択していた」ことを失念 しているケースも見られます。 その場合、 そんなつもりはないのに加算漏れ→申告漏れとなってしまい、申告期限後に発覚するとペナルティ がかかります。 原因はおそらく、親から子への贈与にも贈与税がかかるということ自体、一般にはあまり知られていないこと、また仮に知っていたとしても、たとえば 親が主導で選択届出書の提出から贈与税の申告書の提出(しかも無税)までしていた場合、それから何十年も経って親の相続が発生した時、子には“相続時精算課税で贈与をしてもらった”とい...

贈与税の令和5年度改正 | 相続時精算課税では何が変わったのか

  (Jimmyblog-No.0101) 贈与税が変わった?相続時精算課税の場合 令和5年度税制改正で贈与税が変わった!とウワサになっていますが、相続時精算課税についてはどう変わったのでしょうか。 すでに相続時精算課税制度を選択している方もそうでない方も、今後の 自分に関係あるのかorないのか?気になっているのではないでしょうか。 今回は相続時精算課税について、基礎から改正内容までをご案内します。 相続時精算課税とは?の基礎知識 暦年課税は、贈与の相手がだれでも年110万円までなら贈与税はかかりません。年110万円を超えると税率10%~55%の超過累進税率で、もらった人に贈与税がかかります。 そして贈与税の課税制度にはもう一つ、 選択届出をした親子などだけが使える相続時精算課税 があります。内容は、 60才以上の人から成人の子や孫などへの贈与について、要件を満たせば複数年累計2,500万円までは贈与税がかからず、オーバーしても定率20%の贈与税で済む というものです。ただし一度選択届出するとやめることはできません。そして将来相続が起こったら、この制度でもらった財産は相続財産に加算して相続税を計算します。つまりこの制度での贈与は “相続財産の前渡し” です。 相続時にはオーバーして支払った20%の贈与税があれば相続税から控除し、控除しきれなければ還付となり精算されます。 精算課税の改正事項は2つ 令和5年度改正で相続時精算課税について大きく変わった事は2つあります。 改正①精算課税でも年110万円までは非課税で申告も不要、さらに相続時加算も不要 これまでは精算課税を選択するとその後は少額な贈与であっても贈与税申告をしなければなりませんでした。そして相続時にはそのすべてを加算する必要がありました。 しかし 令和6年の贈与からは、累計2,500万円とは別枠で年110万円までは贈与税ゼロで申告も不要、相続時にも加算不要 となりました。 改正②贈与された土地・建物が被災したら再評価 改正前は、精算課税で贈与した財産が相続時にたとえ消滅していたとしても、加算するのは贈与時の評価額で、と決められていました。しかし令和6年以後の災害により贈与財産(土地・建物)が被害を受けたならば、相続時に再評価計算することとなりました。 暦年贈与か精算贈与かそれとも・・ もしあなたが贈与...

贈与税の令和5年度改正 | 暦年課税について何が変わったのか

 (Jimmyblog-No.0099) 贈与税が変わった?暦年課税の場合 令和5年度税制改正で贈与税が変わった!とウワサになっていますが、どう変わったのでしょうか。 そして自分に関係あるのかorないのか?TVや新聞、雑誌やネットではよくわからないよ・・・と思っている方、多いのではないでしょうか。 贈与税の課税制度には、だれでも使える暦年課税と、届出をした親子などだけが使える相続時精算課税があります。 今回は暦年課税について、基礎から改正内容までをご案内します。 贈与とは?贈与税とは?の基礎知識 贈与とは、生きている人から生きている人へ、財産(お金や土地建物など)がお互いの了解のもとでタダで渡されること です。 そして 贈与税とは、ある程度多額な財産を贈与された人が支払うべき税金です。ある程度っていくらか?と言うと、暦年課税の場合は年110万円がライン です。何回かに分けたり、複数の人から贈与されたりしても、1年間にもらった財産の合計額で考えます。 その年にタダでもらった財産の合計が110万円を超えたら、翌年2/1~3/16に申告と納税をしなければなりません。税率は10%~55%の超過累進税率(多くなるほど税率アップ)です。仮に1千万円の贈与を受けると、200万円程度の贈与税がかかります。 ただし内容によっては“贈与税は非課税”と決められている贈与もあります。たとえば家族間の生活費援助や冠婚葬祭などです。それらはそもそもカウントしません。 暦年課税の改正事項は2つ 令和5年度改正で暦年課税について大きく変わった事は2つあります。どちらも相続時の取扱いです。 改正①生前贈与加算が3年から7年へ たとえば毎年暦年贈与をしていて相続が起こった時、それにより財産を取得した人が直前3年間に贈与を受けていたなら、その贈与財産は相続財産に加算して相続税を計算することとなっていました。 このいわゆる 「3年内加算」の“3年”が“7年”へ延びました。ただし“令和6年の贈与から” なので、今後の相続でいきなり7年さかのぼることにはなりません。相続の時期によって徐々に加算年数が延びていき、令和13年以降の相続から7年フルにさかのぼって加算することとなります。 改正②生前贈与加算4年~7年内加算には控除枠100万円 改正による負担増の緩和措置として、 相続前4年~7年内の生前贈与財...

相続時精算課税とは | 累計2,500万円までの贈与なら贈与税ゼロ

 (Jimmyblog-No.0090) まだまだ知られていない相続時精算課税制度 「“相続時精算課税”って聞いたことはあるが内容は知らない」という方、案外多いのではないでしょうか。ざっくり言うと、 直系尊属(本人の父母、祖父母等)からの贈与についてこの制度を選択すれば、以後、累計2,500万円までの贈与は非課税で、2,500万円超の部分があっても20%の贈与税でよい(贈与の時点では) というものです。 子や孫などへの贈与について贈与時の税負担を軽減 60才以上の人から成人の子や孫などへの贈与であれば、暦年贈与の非課税枠110万円/年をはるかに上回る贈与をしてもその時点では課税しない、する場合も贈与税というよりは相続税を想定した低い税率(20%)での課税にとどめることで、次世代への財産移転を促す制度です。 選択届が必要で取りやめは不可 この制度を利用して贈与をするためには 「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要 です。また、 いったんこの制度を選択すると取りやめはできません。 そして相続時には、相続時点の財産と相続時精算課税で過去に贈与した財産を合算して相続税の計算をする必要があります(相続時『精算』課税なので)。 注意点も多々あり 当面の税負担がゼロor軽減されるのはよいのですが、実際に選択しようとする場合には、それによって将来不利になることはないか、事前の検討が必要です。 主な検討ポイントとしては、 ・相続時に合算するのは、原則、 贈与時の評価額 (相続時の評価額ではない) つまり、たとえば株や不動産などの価値が下落していたとしても考慮されず、過去の価額で相続へ取り込む ・相続時精算課税制度で贈与した財産(土地等)については 小規模宅地等の特例(土地等の評価8割減or5割減)は使えない ・相手が 孫などであれば相続税は通常の2割増し になる。理由は、一世代飛ばすことに対する割増課税 などが挙げられます。 改正事項あり 令和5年度税制改正大綱で、相続時精算課税贈与についても暦年贈与についても改正案が示されています。令和5年3月まで決定はしませんが、今後の贈与について検討する際には、改正の影響も考慮すべきです。贈与を予定している方は3月を待ち、改正も踏まえてシミュレーションしてみるのがよいでしょう。

おしどり贈与 | 結婚20周年で自宅贈与は2千万円まで非課税

(Jimmyblog-No.0075) 夫婦間の自宅プレゼントは2千万円配偶者控除 戸籍上の婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自宅の土地建物などを贈与するときは、特例で2千万円の非課税枠があります。原則110万円の非課税も同時に使えるので、合計2,110万円までなら贈与税はゼロになります。 夫婦間でも贈与には贈与税が原則 「夫婦間で贈与税なんかかかるの!?」と思うかもしれませんが、贈与税は生活費などの非課税と決められたもの以外の贈与なら対象になります。 おしどり贈与なら申告により非課税特例適用 要件を満たせば、贈与する財産の価額が2,110万円までなら、贈与税の申告をすれば贈与税はゼロになります。要件を満たすことを証明する書類(戸籍や財産評価書類など)を添付して 「贈与税の申告書」を提出することが必須 です。期限は贈与年の翌年3月15日です。 贈与税以外の税金も準備を 登録免許税 名義変更を登記するときに必要です。固定資産税評価額に掛ける税率は、相続であれば0.4%ですが贈与では2%にアップします。仮に固定資産税評価額が土地1,500万円、建物500万円の場合、相続なら8万円、贈与では40万円となります。 不動産取得税 財産移転時にかかります。相続であれば非課税つまりゼロですが、贈与では固定資産税評価額に掛ける税率は現在、土地1.5%、建物3%です。ただし 贈与の場合でも、住宅(家屋と宅地)については特例・軽減措置があるため、実際にはほとんど負担なし となることも多くあります。軽減を受けるには 県への申告 が必要です。 固定資産税 その年1月1日の不動産の所有者にかかります。税率は1.4%です。ただし小規模住宅用地については評価額を1/6とする特例があり、負担は軽減されています。その支払義務が受贈者つまり財産をもらった人に移ります。 おしどり贈与実行前にはシミュレーションを  婚姻期間のカウントの仕方や不動産の評価、その他の細かい要件を満たしているかにも注意が必要です。  また、相続と贈与の比較検討も重要です。配偶者には相続にあたり手厚い軽減措置(1億6千万円までは非課税の配偶者の軽減や8割評価減できる小規模宅地の特例)が用意されており、税金負担額の比較においてはおしどり贈与が必ずしも有利とは限りません。 しかし何が最良の選択かはケースバイケースなので、贈与実行による...

贈与税 | 贈与税とは?相続税とのちがいは?税負担はどのくらいちがう?

(Jimmyblog-No.0001) 贈与税と相続税はどうちがう?贈与税は高い? 贈与税って何?いつだれが支払う税金? 生きている人から生きている人へ 、財産(お金や物)がタダで渡されると、 もらった人に対して贈与税 がかかります。 なぜ『もらった人に 』 なのかと言うと、もらっているので支払能力があるからです。 (ただし年間 110 万円までは非課税、また内容により非課税とされているものもある) 相続税って何? 亡くなった人から生きている人へ 、 財産(お金や物)がタダで渡されるの であれば、贈与税はかからず、 もらった人に対して 相続税 がかかります。 贈与税と相続税はどちらが高い?どのくらいちがう? 贈与税 贈与税と相続税では、 贈与税のほうが、とても高く なります。      (例) 1千万円を贈与された場合(ポンともらったら)    親から もらうと:(1千万円 ― 110 万円 基礎控除 )× 30 %― 90 万円 控除 = 177 万円    兄弟姉妹から もらうと:(1千万円― 110 万円 基礎控除 )× 40 %― 125 万円 控除 = 231 万円  の贈与税 がかかります。 相続税 相続でもらう場合は、まず最低 3,600 万円の基礎控除があり、全財産がその範囲内であれば相続税はかかりません。またそれを超えたとしても、税率は贈与税より低くなります。 ( 1 千万円以下なら 10 %) 贈与税の非課税制度等もあるが期限などに注意   どうしても生前に子や孫へ、まとまった額の贈与をしたい場合には、手続が必要ではありますが、特別な非課税制度等も用意されています。 制度は複数あり、それぞれ注意点もあるので、実行前に税理士に相談するのがベストです。