贈与税の令和5年度改正 | 相続時精算課税では何が変わったのか
(Jimmyblog-No.0101)
贈与税が変わった?相続時精算課税の場合
令和5年度税制改正で贈与税が変わった!とウワサになっていますが、相続時精算課税についてはどう変わったのでしょうか。すでに相続時精算課税制度を選択している方もそうでない方も、今後の自分に関係あるのかorないのか?気になっているのではないでしょうか。
今回は相続時精算課税について、基礎から改正内容までをご案内します。
相続時精算課税とは?の基礎知識
暦年課税は、贈与の相手がだれでも年110万円までなら贈与税はかかりません。年110万円を超えると税率10%~55%の超過累進税率で、もらった人に贈与税がかかります。
そして贈与税の課税制度にはもう一つ、選択届出をした親子などだけが使える相続時精算課税があります。内容は、60才以上の人から成人の子や孫などへの贈与について、要件を満たせば複数年累計2,500万円までは贈与税がかからず、オーバーしても定率20%の贈与税で済むというものです。ただし一度選択届出するとやめることはできません。そして将来相続が起こったら、この制度でもらった財産は相続財産に加算して相続税を計算します。つまりこの制度での贈与は“相続財産の前渡し”です。
相続時にはオーバーして支払った20%の贈与税があれば相続税から控除し、控除しきれなければ還付となり精算されます。
精算課税の改正事項は2つ
令和5年度改正で相続時精算課税について大きく変わった事は2つあります。
改正①精算課税でも年110万円までは非課税で申告も不要、さらに相続時加算も不要
これまでは精算課税を選択するとその後は少額な贈与であっても贈与税申告をしなければなりませんでした。そして相続時にはそのすべてを加算する必要がありました。
しかし令和6年の贈与からは、累計2,500万円とは別枠で年110万円までは贈与税ゼロで申告も不要、相続時にも加算不要となりました。
改正②贈与された土地・建物が被災したら再評価
改正前は、精算課税で贈与した財産が相続時にたとえ消滅していたとしても、加算するのは贈与時の評価額で、と決められていました。しかし令和6年以後の災害により贈与財産(土地・建物)が被害を受けたならば、相続時に再評価計算することとなりました。
暦年贈与か精算贈与かそれとも・・
もしあなたが贈与を予定していて相続時精算課税の選択をこれまでしていないという場合、年110万円まで贈与時も相続時も何の心配もなく財産を渡せることとなった相続時精算課税が有利に思えるかもしれません。
ですがまず、使える人は限定されており暦年贈与のように相手を自由に選べるわけではありません。また、期日までの届出、複数の贈与者がいる場合の非課税枠の考え方や年110万円を超えた時の申告、・・・・など、注意が必要な場面が多くあります。
贈与を考えているのであれば、他の非課税制度とも比較検討し、予想外の負担やストレスのない一番良い選択ができるよう、税理士等の専門家へ相談することをお勧めします。
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