贈与税の令和5年度改正 | 暦年課税について何が変わったのか
贈与税が変わった?暦年課税の場合
令和5年度税制改正で贈与税が変わった!とウワサになっていますが、どう変わったのでしょうか。そして自分に関係あるのかorないのか?TVや新聞、雑誌やネットではよくわからないよ・・・と思っている方、多いのではないでしょうか。
贈与税の課税制度には、だれでも使える暦年課税と、届出をした親子などだけが使える相続時精算課税があります。
今回は暦年課税について、基礎から改正内容までをご案内します。
贈与とは?贈与税とは?の基礎知識
贈与とは、生きている人から生きている人へ、財産(お金や土地建物など)がお互いの了解のもとでタダで渡されることです。
そして贈与税とは、ある程度多額な財産を贈与された人が支払うべき税金です。ある程度っていくらか?と言うと、暦年課税の場合は年110万円がラインです。何回かに分けたり、複数の人から贈与されたりしても、1年間にもらった財産の合計額で考えます。
その年にタダでもらった財産の合計が110万円を超えたら、翌年2/1~3/16に申告と納税をしなければなりません。税率は10%~55%の超過累進税率(多くなるほど税率アップ)です。仮に1千万円の贈与を受けると、200万円程度の贈与税がかかります。
ただし内容によっては“贈与税は非課税”と決められている贈与もあります。たとえば家族間の生活費援助や冠婚葬祭などです。それらはそもそもカウントしません。
暦年課税の改正事項は2つ
令和5年度改正で暦年課税について大きく変わった事は2つあります。どちらも相続時の取扱いです。
改正①生前贈与加算が3年から7年へ
たとえば毎年暦年贈与をしていて相続が起こった時、それにより財産を取得した人が直前3年間に贈与を受けていたなら、その贈与財産は相続財産に加算して相続税を計算することとなっていました。
このいわゆる「3年内加算」の“3年”が“7年”へ延びました。ただし“令和6年の贈与から”なので、今後の相続でいきなり7年さかのぼることにはなりません。相続の時期によって徐々に加算年数が延びていき、令和13年以降の相続から7年フルにさかのぼって加算することとなります。
改正②生前贈与加算4年~7年内加算には控除枠100万円
改正による負担増の緩和措置として、相続前4年~7年内の生前贈与財産を全額加算するのではなく、その合計額から100万円を控除して加算することとなりました。
他にもある検討すべき制度
贈与を考えているのであれば、現在、他にも相続時精算課税制度(令和5年度改正あり)やおしどり贈与(贈与税の配偶者控除)、教育資金の一括非課税贈与、結婚・子育て資金の一括非課税贈与など、いくつかの制度が用意されています。
それぞれ使える相手や適用期限などが異なり、贈与と相続をあわせて考えることも重要です。税額のシミュレーションだけでなく、それぞれの状況に応じたメリットとデメリットを理解しておく必要があります。
検討の際には、税理士等の専門家へ相談することをお勧めします。
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