相続時精算課税とは | 累計2,500万円までの贈与なら贈与税ゼロ

 (Jimmyblog-No.0090)

まだまだ知られていない相続時精算課税制度

「“相続時精算課税”って聞いたことはあるが内容は知らない」という方、案外多いのではないでしょうか。ざっくり言うと、直系尊属(本人の父母、祖父母等)からの贈与についてこの制度を選択すれば、以後、累計2,500万円までの贈与は非課税で、2,500万円超の部分があっても20%の贈与税でよい(贈与の時点では)というものです。

子や孫などへの贈与について贈与時の税負担を軽減

60才以上の人から成人の子や孫などへの贈与であれば、暦年贈与の非課税枠110万円/年をはるかに上回る贈与をしてもその時点では課税しない、する場合も贈与税というよりは相続税を想定した低い税率(20%)での課税にとどめることで、次世代への財産移転を促す制度です。

選択届が必要で取りやめは不可

この制度を利用して贈与をするためには「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。また、いったんこの制度を選択すると取りやめはできません。そして相続時には、相続時点の財産と相続時精算課税で過去に贈与した財産を合算して相続税の計算をする必要があります(相続時『精算』課税なので)。

注意点も多々あり

当面の税負担がゼロor軽減されるのはよいのですが、実際に選択しようとする場合には、それによって将来不利になることはないか、事前の検討が必要です。

主な検討ポイントとしては、
・相続時に合算するのは、原則、贈与時の評価額(相続時の評価額ではない)
つまり、たとえば株や不動産などの価値が下落していたとしても考慮されず、過去の価額で相続へ取り込む
・相続時精算課税制度で贈与した財産(土地等)については小規模宅地等の特例(土地等の評価8割減or5割減)は使えない
・相手が孫などであれば相続税は通常の2割増しになる。理由は、一世代飛ばすことに対する割増課税
などが挙げられます。

改正事項あり

令和5年度税制改正大綱で、相続時精算課税贈与についても暦年贈与についても改正案が示されています。令和5年3月まで決定はしませんが、今後の贈与について検討する際には、改正の影響も考慮すべきです。贈与を予定している方は3月を待ち、改正も踏まえてシミュレーションしてみるのがよいでしょう。


コメント

このブログの人気の投稿

インボイス登録をやめたいとき

インボイス登録を求められたら

ふるさと納税枠