雑損控除 | 災害時の税額軽減

 (Jimmyblog-No.0159)

災害で自宅が被害を受けたとき

地震・火災・台風・豪雨などの災害で、自宅建物や家財などが損壊したり浸水被害に遭った時には、所得税及び住民税の軽減措置の一つとして“雑損控除”があります。
ただし確定申告が必要です。申告にあたっては、関係書類などをもとに少し煩雑な計算をして控除額を求めることとなります。

令和6年11月2日からの豪雨

たとえば松山市在住の方であれば、令和6年は11月からの豪雨がありました。土砂崩れで自宅が損壊したり、大雨で浸水したり、土砂流入などで家財や車両も被害を受けたかもしれません。
さらに自宅の片付け(取壊し・土砂除去)費用や修繕費(壊れた部分を直すいわゆる原状回復費)などの出費もあったと思われます。

まさに雑損控除で税負担軽減を図れるケースですが、さて、申告で控除額計算をすると言っても、実際には何をどうすればよいのでしょうか?

まずは罹災証明書

被災者であれば入手済みかもしれませんが、まずは市町村等へ申請し「罹災証明書」を入手することとなります。罹災証明書には被害の状況詳細が記載されており申告に役立ちます。

ただ残念ながら罹災証明書だけでは控除額の計算はできません。なぜかと言うと・・・

損失額はいくらなのか?

雑損控除は、個人ごとの災害によるダメージを、全部ではないが所得から引くことで税額を軽減する措置です。よって、ダメージ(損失)を金額で表すといくらなのか?を計算しなければなりません。

ここで誤りやすいのが、お金で支払ったものだけを損失だと思ってしまうことです。
そうでなく、自宅建物・家財・車など、いわゆる資産(物)が受けたダメージもお金に換算し損失として計算に含めなければ、雑損控除が過少になってしまいます。

とは言っても、出費(災害関連支出)なら請求書や領収書があればすぐわかりますが、資産のダメージの計算となると少しハードルが高くなります。必要な書類を集めて、それをもとに計算することとなります。出費だけから控除額を出すこともできますが、資産の損失が大きい場合は不利になります(もっと税額軽減できたはずなのに・・となる)。

必要書類

資産損失を計算するのに必要な書類等は大体以下のとおりです。
・自宅建物の売買契約書or建築請負契約書、登記簿謄本
・災害関連費用(出費)の証憑(請求書・領収書等)
・被災に対する保険金、共済金等の請求書、入金通知書等
・被災した家財、車両等の内容、取得価額等のわかるもの

なくても大丈夫(代替計算可)なものもありますが、建物や車両の被災時点の価値を計算するには取得時期がわかるものが必須です。

計算用フォーマット

実際の計算は、準備されている「雑損失の金額の計算書」「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」を使って行います。
ただ、付いている“書き方”だけではわからない部分も多々あるように思われます。たとえば「被害割合は“被害割合表”によるとあるが、損壊(5%)と浸水(35%)があったらどうするのか?」→答えは「加算する(40%)」などです。

全体的に計算過程はなかなか複雑なので、税理士等へ頼むほうがよいかもしれません。

3年繰越可

資産損失が多額で、計算した雑損控除額が当年(令和6年)分の所得額から引ききれないこともあるかもしれません。そのような時には、翌年以後3年間(令和7~9年分)への繰越ができます。

災害減免法もある

対象者や対象資産などがちがう、別の税額軽減措置“災害減免法”もあります。
“雑損控除”とは選択制なので、対象者であれば、どちらが有利かシミュレーションすることをお勧めします。

住民税はどうなる?

所得税の確定申告で“雑損控除”を選択した場合には、自動的に住民税でも適用されます。

ここで、所得税の確定申告で“災害減免法”を選択した場合は、愛媛県松山市では
・半壊以上など相当の被害には市の条例による災害減免(該当者へは市から案内書送付済)
・上記減免に加えて、「住民税の申告」をすれば雑損控除も適用できる
との取扱いになっています。

確定申告したのに、なぜさらに「住民税の申告」が必要かというと、災害減免法の申告内容だけでは雑損控除の計算はできないからです。

紙ベースで面倒かもしれませんが、住民税率は10%なので影響大と思われます。
自力で難しい場合は税理士等へ相談するとよいでしょう。









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