簡易課税制度選択届出書の届出時期の特例 | 令和6年の今チェックすべきこと
(Jimmyblog-No.0143)
令和5年は2割特例OKでも令和6年はNGかも
ずっと消費税の免税事業者だったが、インボイスをきっかけに登録して、令和5年分の消費税申告は2割特例で計算したという方、多いのではないでしょうか。
さて、今年(令和6年分)の消費税申告も2割特例が使えるのであれば、計算がラク、かつ経費についてのインボイスを気にしなくてよいので安心ですが、本当に2割特例が使えるかのチェックは大丈夫でしょうか?
2割特例が使えないケースとは
チェックはどうするかと言うと、令和4年分の課税売上高を過去の申告書(控)等で確認することとなります。
その結果、令和4年分の課税売上高(事業の売上や雑収入、事業用資産の譲渡収入等から計算)が1,000万円超であれば、令和6年分の消費税計算に2割特例は使えません。
理由は、2割特例というのは“インボイス登録していなければ免税だった”年にだけ使える簡易計算だからです。
2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円超の年は、インボイスに関係なく、そもそも消費税の申告・納付義務のある課税事業者となります。よって2割特例は使えません。
ではどうする?
では、令和4年分の課税売上高が1,000万円超だったら、どうすればよいのでしょうか?
その場合、令和6年中にこのまま何もしなければ、今年の消費税計算はかなりハードルが高いものとなります。
売上だけでなく経費についてもインボイス絡みの煩雑な処理が求められるからです。
ここで、“そんな事はムリ”という場合、令和6年中(令和6年12月31日まで)に「簡易課税制度選択届出書」を提出するという方法があります。そうすれば今年の消費税計算は、2割特例に似た簡易な方法ですることができます。
通常であれば提出期限は令和5年12月31日(なら、もう過ぎている・・)なのですが、2割特例を使った次の年にあたるため、期限が1年後ろへ延びています(提出時期の特例)。
簡易課税とは、たとえばサービス業であれば2割特例が5割特例に変わるような感じです。
売上だけをもとに、業種により決められている割合だけ消費税を納めるものです。
経費は全く消費税計算に使わないので、事務負担が軽くなります。
2年縛り
ただし簡易課税にすると2年はやめられません。
そして簡易課税では、必ず納付になります(還付はありえない)。
そうでなく、令和6年中に何もしない(簡易課税にしない)場合は、計算は大変ですが場合によっては消費税が還付される可能性があります。多額な設備投資があった年などは、仮受消費税(売上に係る消費税)より仮払消費税(支払に係る消費税)の方が多くなることがあるからです。
届出前には相談を
簡易課税制度選択届出書の提出がベストな方法かはケースバイケースなので、提出前にはシミュレーションが必須です。
提出期限までまだ少し時間があるので、まずは直近までの実績を把握し、税理士等へ相談するなどして、諸条件を考えあわせて慎重に検討することをお勧めします。
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