白色申告vs青色申告

(Jimmyblog-No.0132)

青色申告するには

“届出するだけで10万円or55万円or65万円を所得から引ける”と言われている青色申告
実際には、届出するだけで、というワケではない(キチンと帳簿をつける、つまり売上や経費を請求書や領収書に基づいて記録することが前提)ですが、それは現在は白色申告でも同じ。

となるとやはり「青色になるために新たにしなければならない事って何?」かと言うと「期限までに税務署へ届出すること」になります。“え?それだけ?”っていう感じかもしれませんが、それだけです。

ですが現在、個人事業者のうち青色申告している人は全体の6割程度のようです。
なぜでしょうか?

白色申告はテキトーでいい?

理由はいくつかあるようですが、まずこの誤解が多いようです。

その昔(平成25年(2013年)まで)は、白色申告であれば、帳簿をつける義務が免除される場合がありました。
けれども現在は、白色申告であっても青色申告と同様に、帳簿をつけたり書類を保管したりする義務があります。

白色と青色のちがい

では、白色申告と青色申告のちがいは何なのでしょうか?
青色申告には特典がいろいろあります。
主なものについて少し詳しく見てみましょう。

特典①青色申告特別控除

一番のちがいは、よく聞く10万or55万or65万円の青色申告ならではの特別控除です。
“青色申告承認申請書”なるもの(書類1枚)を提出し青色申告者になれば、その記帳レベル等に応じて一定額を所得から引くことができ、所得税・住民税の税負担が軽くなります。

特典②赤字の3年繰越

また仮に、その年が赤字だった場合、白色申告では特別なケース(災害など)を除きその年限りで切り捨てられますが、青色申告なら3年間繰越ができます。
つまり翌年の黒字から、3年前までの赤字を引くことができ、やはり税負担が軽減されます。

特典③30万円未満なら消耗品費でOK

白色申告であれば、1セット10万円以上の事業用備品等を購入すると一度にその年の経費にはできず、耐用年数にわたり減価償却費として例えば1/5ずつしか経費にできません。
けれども青色申告なら、期限はありますが(現在の予定では令和8年3月31日まで取得分)その10万円のラインが30万円までupします。
たとえば1セット29万円の備品なら、消耗品費29万円として処理し、全額をその年の経費にすることができます。(1セットの累積300万円/年までOK)

特典④青色事業専従者給与

これは家族構成などとも関係するので、すべての個人事業者に有利かはケースバイケースですが、“青色事業専従者”なるものとして届出すれば、生計一の家族へ相当額の給与を支払いそれを経費にすることが合法となります。

所得税では、生計一親族間でのお金のやり取りが事業の経費等には通常なりませんが、現実に例えば配偶者とともに事業を行っている場合「その配偶者に任せている仕事の内容や、それに対して月給××円を支払う、などを届出し要件を満たすならば事業経費として認めます」というものです。
賞与もOKです。賞与額は届出段階で分からないなら“業績に応じて”などと記載して提出しても大丈夫です。

ただし、もらう側、例えばその配偶者にとっては、給与収入→給与所得となります。
事業主には所得税の源泉徴収義務も発生し、毎月or半年ごとの税務署への納付や、年末調整もしなければなりません。
赤の他人を従業員として雇った場合と同様の事務管理が必要になるということです。

全員、青色申告すべき?

さて、白色vs青色、比べてみてどうでしょうか?

青色申告の特典①・②・③については、青色一択(青色有利)かと思われます。
けれども④を考慮すると、ケースバイケースかもしれません。
なぜなら、白色申告の場合、家族への給与は経費にできませんが、それに代わる“事業専従者控除”なるものが用意されているからです。

事業専従者控除とは、給与としてではないのだが、事業を手伝っている生計一親族がいるときに、要件を満たせば一定額(配偶者なら86万円、他の親族なら50万円)or一定の算式から計算した金額を所得から引くことができる、というものです。届出は不要です。
この場合、専従者にとっては控除額が「みなし給与」という取扱いになりますが、他の収入等が無ければ所得税等の心配は無く、事業主には源泉徴収義務はないとされています。

その事業の形態や所得金額(事業の利益)なども考えあわせて、個別に判断するのがよいかもしれません。
事務負担コストも含めてトータルで考えると「自分の事業の場合は、白色申告の方がメリットがある」というケースもありえます。

届出するなら3月15日まで

“白でも青でも記帳義務が同じなら青色申告しよう!”と思ったアナタ。
“これまで白色申告していて、令和6年分から青色申告にしたい”なら、令和6年3月15日(金)が青色申告承認申請書の提出期限です。

「いまいち微妙でよくわからない。どうしようかな・・」と悩んだ時は、税理士等へ相談するとよいでしょう。




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