簡易課税制度選択届出書の届出時期の特例 | 令和9年からはどうする?

  (Jimmyblog-No.0131)

2割特例は令和8年分まで(個人事業者)

インボイス制度の導入により令和5年10月1日以降分について初めて消費税の申告・納付等をすることとなった事業者は、いわゆる2割特例を使うことができます。

2割特例とは、売上金額のみをもとに、納付すべき消費税額を計算する簡便な方法です。
経費については管理する必要がないため、事務負担は軽くなります。
今回の確定申告を、2割特例で乗り切った(乗り切る)方は多いと思われます。

しかし残念ながら、2割特例には適用期限があります。
個人事業者の場合、使えるのは令和8年分の申告が最後です。

令和9年分からの消費税申告はどうする?

インボイスが導入されるまで消費税とは無縁だった個人事業者は、2割特例が使えなくなる令和9年分以降の消費税申告をどのようにすればよいのでしょうか?

何か選択の余地があるのかないのか?よく分からないのではないでしょうか。

一般課税or簡易課税

まず基礎知識として、消費税の納付額等の計算方法として、原則の一般課税と、届出により選択できる簡易課税制度の2種類があります。

一般課税

原則の消費税計算方法である一般課税とは、売上に係る仮受消費税から経費に係る仮払消費税を差引いたものを納付税額とするものです。

事実どおり、と言えばそうなのですが、消費税の計算においては、たとえば経費のうち給与や租税公課、減価償却費、保険料などには消費税は含まれていないと考えます。
よって、所得税申告における所得の出し方とはズレがあります。

簡易課税

簡易課税は2割特例と似ています。
経費は無視で計算することは全く同じです。
簡易課税は、2年前の課税売上高が5千万円以下であれば選択可能です。
通常は、簡易課税で計算したい年が始まる前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署へ提出しておかなければなりません。

2割特例は、業種にかかわらず売上に係る仮受消費税の2割を納付税額とします。
簡易課税では、業種により異なる割合を納付税額とします。(製造業なら売上に係る仮受消費税の3割、サービス業なら売上に係る仮受消費税の5割など)

一般課税に比べ簡単ですが、消費税法上の経費が売上より多かったとしても消費税が還付される事は決して無く、必ず納付になります(計算に経費は関係させないため)。
一度選択すると2年は継続しなければばならない(2年縛り)なども注意点です。

簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例

2割特例を使った年の翌年に簡易課税を選択したい場合、通常の期限を1年延長する特例が設けられています。

たとえば令和6年を簡易課税で計算したい場合、通常なら令和5年中に届出書提出が要件ですが、そうでなく令和6年12月31日までに簡易選択届を出せば、令和6年から簡易課税となります。
消費税に不慣れな事業者のための措置と言われていますが、この延長は、実務上、何を意味するでしょうか?

ほぼ1年、様子見してから選択できる

明らかに簡易課税が有利、という事業者以外は、ほぼ1年、その年の実績を様子見することが出来る、つまり一般と簡易のどちらが有利かを計算してから、簡易有利であれば(2年縛りも考慮して)簡易選択届を出せる、ということです。

様子見していて提出すべき届出を失念すると大変ですが、失念に注意すれば、通常はできないぎりぎりまでの様子見が許される特別な1年であるとも言えます。







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