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更正の請求 | 経費計上漏れに気付いたら

(Jimmyblog-No.0096) 個人事業者の確定申告で経費計上漏れがあった時  個人事業の所得税の確定申告を申告期限(3月15日)までに済ませてほっとしていたら、 計上漏れの経費があったことが発覚 ・・・。 こんな時、どうすればよいのでしょうか? 税額が減る場合のやり直しは「更正の請求」 「修正申告」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。これは例えば売上計上漏れなどがあり、確定申告した税額が少なすぎた場合のやり直しのことです。 反対に、経費計上漏れ等、つまり いったん申告した税額が多すぎた場合のやり直しは「更正の請求」 という手続きになります。 更正の請求は義務ではなく、また面倒かもしれません。けれども 所得税だけではなく住民税や国保料などへも影響 するため、多額な経費計上漏れをそのままにしておくと税金や保険料の支払い過ぎとなってしまいます。 更正の請求書のフォーマットは1枚もの 国税庁ホームページに更正の請求書のフォーマットと書き方があります。以前は、当初の金額と正しく直した金額の両方を記載する書式でしたが、改正により令和4年分の所得税からは正しく直した金額だけを書くこととなっています。最終の税額のみ、当初の金額も記載して差額を計算します。 また、請求理由や請求をするに至った事情を記載する欄もあります。欄は狭いので、込み入った事情があれば別紙を準備して記載し添付することもできます。 根拠書類の添付が必要 確定申告では提出するのは青色申告決算書や白色申告なら収支内訳書で、経費の領収書等は手元に保管しておけばよかったのですが、更正の請求をするならば領収書等を添付しなければなりません。理由は、 いったん申告した税額を減額変更するにあたっては、それが正しいかを証明する根拠書類が必要 とされるからです。 所得控除(例えば障害者控除)を失念していた場合なら、障害者手帳などのコピーを添付すればよいだけですが、経費計上漏れの場合は、更正の請求用の青色申告決算書や収支内訳書、該当科目の元帳や漏れていた経費の領収書等の添付が必要になると考えられます。 期限は5年 更正の請求はいつまでも出来るわけではありません。原則、 法定申告期限(3月15日)から5年を過ぎてしまうと出来なくなる ので、誤りに気付いたら早めに行うことをお勧めします。 自力では無理だと思ったら、税...

寄附金の所得控除と税額控除

(Jimmyblog-No.0095) 寄附先によっては税額控除ができる 認定NPO法人等や公益社団法人等、政党等へ寄附 をした年には、要件を満たせば、所得控除ではなく、税額から直接一定額を引く 「税額控除」 を選択することができます。 所得控除と税額控除のちがい 所得控除とは、税率を掛ける前の“所得”から引くもので、この場合、寄附額×税率分(仮に所得税の上限税率10%であれば1割)程度しか税額軽減できません。 けれども税額控除であれば、所得×税率で計算した 税額からダイレクトに寄附額×30%or40%程度を引く ことができ、インパクトがあります。 なお上限税率が高い場合(33%以上の人)は、必ずしも税額控除が有利とは限りません。 税額控除の要件 所得控除では原則、対象となる寄附先からの領収書等があればOKですが、 税額控除は領収書だけでは適用できません。 公益社団法人等については、 その法人が税額控除の対象であることの証明書等 が必要です。また政党等なら所得控除の場合もですが、確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」なるものが必要です。 そして寄附先にかかわらず、 控除額の計算シート(計算明細書) の添付が必要です。 また、申告書第二表の 特例適用条文等欄へ 条文番号 (公益社団法人等なら措法41の18の3など) を記載 することとなっています。 e-Taxするとき e-Taxの場合、領収書・証明書等は添付不要とされていますが、添付不要であっても確認不要ではありません。また、捨ててよいわけでもありません。 要件を満たすことを証明する上記の書類はすべて(領収書だけでなく)入手し、手元で5年間保管する義務があります。

損害保険金 | 保険金収入は課税?損害や購入の処理

(Jimmyblog-No.0094) 個人事業者が事業用固定資産の損害について保険金をもらったら 事業に使用していた固定資産(機械、車両、建物など)が突発的な事故などで損害を受け、掛けていた保険からその損失を補填する損害保険金が入ってきたら、その保険金収入には税金がかかるのでしょうか? 結論から言うと、かかりません。理由は、個人が 損害保険契約に基づき支払を受ける保険金で、突発的な事故等により資産に加えられた損害に起因して取得するものは非課税 とされているからです。 故障・事故・被災などによる資産損失は では、たとえば事業用車両(簿価100万円)が事故で廃車になった場合、100万円は固定資産除却損(資産損失)として経費になるのでしょうか? 資産損失が経費になるかは、保険金額によります。 保険金額を超えるような損失があれば、その超える部分の金額だけが損失として経費 になります。 簿価100万円の車両がダメになったが保険金収入は60万円しかなかったならば、40万円を損失として経費計上することになります。けれども保険金収入が150万円だったなら、保険金で損失をカバーできていると考えて、除却損は無かったものとされます。経費にはなりません。 新たな固定資産を買ったとき さて、入った保険金も使って新しい事業用固定資産を買ったら、その経理処理はどうすればよいのでしょうか? 固定資産の取得価額は、通常の場合と同様に購入代価で計上し、減価償却 をしていくことになります。保険金を充てることで自己負担額は少なくて済むため「購入代価全額を取得価額にしていいのかな?」という疑問が浮かぶかもしれませんが、かまいません。所得税には、法人税のような「保険金で固定資産を取得した場合の取得価額の圧縮記帳」の規定はないからです。

相続放棄 | 分割協議で何ももらわないのとはちがう

(Jimmyblog-No.0093) 遺産はプラスのものだけとは限らない 相続が起こると、亡くなった人の財産などが被相続人(亡くなった人)から相続人へ移転します。必ずしもプラスの財産だけではなく、マイナスの財産つまり債務(借入金など)もあればそれも一緒に移転します。 よって財産<債務の場合などには、放棄も選択肢の一つとなります。 相続の放棄とは、財産と債務の承継をすべて拒否すること です。放棄は各相続人ごとに(一人だけでも)できます。 まずは債務(借金など)の有無を把握 なかなか難しい場合もありますが、相続が起こったならば、まずやるべきことは、被相続人の財産及び債務を調べることです。理由は、万が一 多額な借金などがあった場合、3ヶ月以内に「相続放棄申述書」を家庭裁判所へ提出しておかなければ、自動的に承継してしまう ことになるためです。 分割協議で何ももらわないことと放棄はちがう 調べたところ借金などは無さそうだったが、何らかの事情(今後ともあまり関わりたくないなど)があり、自分はプラスの財産もいらない、という場合、これも放棄になるのでしょうか? 誤りやすいのですが、それは放棄とはちがいます。よってその場合は、放棄の手続きをする必要はありません。遺産分割協議の場で「何もいらない」意思表示をするだけ(具体的にはその内容の遺産分割協議書に署名押印)でOKです。 さらに言うと、放棄手続きをすると他の相続人等へ思わぬ影響を及ぼすこともあるため、放棄するのであれば事前に専門家(司法書士・弁護士等)にも相談するなど慎重に行うべきです。 思わぬ影響とは 相続放棄をすると、相続人や相続分について、その相続人は初めから相続人でなかった(つまり存在していないような状態)という取扱いになります。争いがあるなどの場合、 よかれと思ってした放棄によって相続分の変更が起こり、さらなる状況悪化を招く結果になる ケースもあります。 生命保険金は受け取れる 相続の放棄をすると生命保険金は受け取れないのでは・・?との心配は不要です。該当する契約の 受取人であれば、みなし相続財産として受け取る ことになります。 なお、その場合、他の財産は相続していないが相続税の計算のカウント対象になります。ただし死亡保険金には一定の非課税枠があり、相続税がかかるかどうかはケースバイケースです。