減価償却の特例 | 10万円以上の事業用の物を買ったとき

(Jimmyblog-No.0082)

20万円未満or30万円未満なら選択肢あり

原則

1セット10万円以上の事業用資産(パソコン、車両など)を買って事業に使い始めたら、原則は全額一度に経費にすることはできず、耐用年数(パソコンなら4年、普通自動車なら6年など)にわたって毎年少しずつ経費にしていきます(減価償却)。

考え方としては、その年に物を使い切ってしまうわけではなく、その後、数年間は使い続けて売上に貢献するのだから、お金としては一度に支払ったけれども、一年ごとの正しい利益を計算するには数年間にわたって売上と見合う減価償却費を計上していくのが妥当なのではないか、ということです。

20万円未満や30万円未満なら別の方法あり

ただし、それほど高額でない物については、その年に全額経費にするという選択が可能です。

具体例による計算

たとえば個人事業者が今年の7月に12万円のパソコン一式(新品)を買って事業に使い始めたとします。その場合の選択肢は3つ。

①原則

4年間(新品のパソコンの耐用年数)にわたり経費にしていく。
今年は12万円×0.25×6ヶ月/12ヶ月=15,000円が経費(来年は12ヶ月使用で30,000円)

②一括償却資産(20万円未満の資産)

12万円<20万円なので一括償却資産として扱い、3年間(36ヶ月)かけて経費にしていく。
今年は12万円×6ヶ月/36ヶ月=20,000円が経費(来年は40,000円)

③30万円未満の少額減価償却資産(措置法)

12万円<30万円なので30万円未満の少額減価償却資産として扱い、全額をその年の経費にする。これは青色申告者のみの特例です。青色申告であれば、12万円全額を経費にできます。

30万円未満OKなのは青色のみで期限もある

③の規定は、青色申告者が令和6年3月31日まで使えるとされている特例(措置法第28条の2)です。1セット30万円未満の物であれば、原則累計300万円になるまで(10セットとは限らない)全額その年に経費にできます。その年が白色申告であれば、残念ながら使えません。(※適用期限は令和6年度税制改正大綱で2年延長予定)

確定申告書に明細書添付が要件

10万円以上の事業用資産を取得し事業供用したならば上記①②③のどれを選んでも、白色申告なら収支内訳書、青色申告なら青色申告決算書の中の「減価償却の計算」へ必要な内容明細を記載して提出し、証憑(領収書や請求書など)は保管しておく必要があります。



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