夫名義の建物・車両等を妻が事業に使うとき
(Jimmyblog-No.0152) 個人事業者の経費の特別ルール 所得税では、同一生計親族(夫婦・親子など)間のやり取りについて特別ルールが定められています。その内容は・・ たとえば、夫はサラリーマンで自宅建物と車両は夫名義、妻は個人事業者で自宅の一部と夫の車両を事業に使用している事例があるとします。 この場合、妻が夫に事業経費として家賃や水道光熱費、車両レンタル料を支払ったとしても、それは事業経費とはならない、つまり 同一生計親族(夫婦など)は一体と考え、その内部でのやり取りは経費として認めない 、というものです。 そして、“では経費計上は全くできないのか?”と言うとそうではなく、一体と考えるワケなので、 同一生計親族(事例の場合は夫)が外部(他人)に支払ったものについては、本人(事例の場合は妻)が支払ったものとして取扱う こととされています。ただし事業経費として認められるのは、支払った全額ではなく、事業供用割合に応じた金額だけです。 さて、実際にはどのような計算をすればよいのでしょうか? 固定資産(建物・車両)は減価償却費×事業供用割合 上の事例において仮に、令和6年10月に妻が個人事業を開始し、同時に夫が軽自動車(新車・200万円)を購入したとします。軽自動車は家事(夫婦のプライベート)用60%、妻の事業用40%で使用するとします。 この場合、車両代金200万円は、4年(軽自動車の法定耐用年数)にわたり分割して減価償却費として経費計上します。 令和6年分の減価償却費は、200万円×償却率0.250×(3月/12月)×事業供用割合40%=5万円です。 令和7年分は、200万円×0.250×(12月/12月)×40%=20万円の減価償却費を計上します。 他の固定資産(建物等)についても考え方は同じです。 諸経費も事業供用割合で計上可 そして他にも同一生計親族が外部へ支払った費用があれば、事業供用割合分を個人事業者の経費にできます。該当するものとして、たとえば 固定資産(建物・車両等)に係る税金・保険料・修繕費や水道光熱費等 が挙げられます。 「自分で支払っていなくても事業経費にできる。ただし事業に使っている分だけ」 ということです。 経費計上もれになりやすい 個人事業の場合、事例のように夫の建物の一部を妻が事業場として使うなどはよくあります。そのようなとき、 ...